セラピスト ALESPIA 代表 山口 真央セラピスト ALESPIA 代表 山口 真央

100年続くサロンを作りたいんです。
セラピストという仕事は、
私の天職だから。

どんなお客様も、
最後は必ず笑顔にしたいんです
セラピスト
ALESPIA
代表
山口 真央

30歳にしてリラクゼーションサロン「ALESPIA」を立ち上げた山口真央氏。確かな技術と細やかなサービスの裏側にある持ち前のバイタリティ。それを原動力に突き進んでは、何度も壁にぶち当たり、それでも結局はこの世界に戻ってきた。今では「セラピストは私の天職」と語る山口氏に自身の歩みと、見据える未来について聞いた。


「どんなお客様にも、ここで過ごす時間がすべて心地良いものであってほしい」と語る山口氏

東京・恵比寿駅からほど近い場所にあるリラクゼーションサロン「ALESPIA」。繊細なマッサージ技術で、心身ともにリラックスし、眠りこんでしまうお客もいる。洗練された内装や施術後のひとときを潤すハーブティーも含め、この快適な空間をつくりあげたのが山口氏だ。

 お客様にサービスを提供するにあたって、大切にしているのは「心・技・態」の3つの要素です。そう、「体」ではなくて「態」。

 「心」は、お客様の心に寄り添うことです。私はサロンの料金をいただくということは、施術だけでなく、その時間を買っていただくことだと考えています。

 疲れ果ててうとうとしたいという方もいれば、気分転換に楽しくおしゃべりをしたいという方もいる。どんなお客様にとっても、ここで過ごす時間がすべて心地良いものであってほしいと思うのです。

 もちろんそのためには「技」、確かな技術が必要です。常に意識しているのは、お客様の身体は十人十色だということ。肩こり、腰痛など、人によって悩みは様々ですし、同じ人でも日によって体調も変わります。毎回手に神経を集中させて、身体が何を訴えているのか、注意深く耳を傾けるようにしています。

 そして「態」。これは、気遣いやマナーを含めた環境づくりを指します。リラックスしていただけるよう言葉づかいをやわらかくしたり、初めての方には丁寧な説明を心掛けたり。また、アロマオイルの香りやBGM、お部屋に飾るお花や、ハーブティーなど、お客様の五感に触れるものは細部にまでこだわり、快適な環境を整えています。

 私が何よりも大切にしているのは、マッサージを受けて身体がラクになるのはもちろんのこと、ここでの時間を通じて、お客様の心が満たされることなんです。そのためにはこの3つのどれが欠けてもいけない。そうして最後には、全員に必ず笑顔でお帰りいただきたいと思っています。

東京・恵比寿駅からほど近い場所にあるリラクゼーションサロン「ALESPIA」。繊細なマッサージ技術で、心身ともにリラックスし、眠りこんでしまうお客もいる。洗練された内装や施術後のひとときを潤すハーブティーも含め、この快適な空間をつくりあげたのが山口氏だ。
手に神経を集中させて、身体が何を訴えているのか、注意深く耳を傾ける

多くの常連客をもつ一方で、クチコミで新規顧客を獲得。日々の仕事や人間関係、生活に疲れ切ったひとたちにとって、ここは隠れ家のような存在。山口氏が、そんな空間をつくろうと思ったきっかけはなんだったのか。

 セラピストの仕事に興味を持ったのは、20歳の頃でした。当時、ひどい肌荒れと、にきびに悩まされていた私を見かねて、先輩が肌の構造についてイチからレクチャーをしてくれたんです。それまで肌の内側のことなど考えたことがなかったので、目からウロコが落ちたような気分でした。

 それがきっかけとなって美容に興味を持ち、エステティックサロンで働き始めましたが、知識不足を痛感して、改めて専門学校に入学することに。学校では、これまでになかったほど必死に勉強しましたね。試験は常に100点を取っていたくらいです。

 卒業後は、系列のエステティックサロンに就職。学校の勉強はほぼ完璧にこなして準備万端、張り切ってました。しかも、専門学校時代のインターン研修で知り合って以来、ずっと尊敬していたマネジャーの下で働けることになり、ますますモチベーションが上がりました。

 今思えば、その気持ちが強すぎたんですね。お客様にも、先輩方にも認めてもらいたくて、寝る間も惜しんで働いていたら倒れてしまい、やむなく退職することになりました。

 その頃の私は、まさに燃え尽きた状態でした。しばらく放心状態が続き、これからどうしようか、先のことは何も考えられなかった。でも少なくとも、もう二度とこの世界に戻ることはないだろうなと思っていました。

多くの常連客をもつ一方で、クチコミで新規顧客を獲得。日々の仕事や人間関係、生活に疲れ切ったひとたちにとって、ここは隠れ家のような存在。山口氏が、そんな空間をつくろうと思ったきっかけはなんだったのか。
エステティックサロン時代は仕事への熱意から寝る間も惜しんで働き、一度は燃え尽きたというが…

しばらくは身体の回復を図りながら、派遣の仕事などで働いていた。慣れない事務の仕事にも就いた。それでも、やはりいつしか「またあの世界に戻りたい」という気持ちが大きくなっていったという。

 再びリラクゼーションサロンに就職を決めました。当時26歳。今度こそ、もう自分はこの道で生きていくんだ、という覚悟を決めてのことでした。当初から10年後の独立を視野に入れていました。

 ところが満を持して復帰してみたら、のっけから鼻をへし折られました。ブランクはあっても経験者ですから即戦力として活躍できると思っていたのに、私の技術力ではまったく及ばなかったのです。

 その店では、新規顧客のリピート率をひとつの重要な指標としていました。業界平均が25%前後と言われており、なかには30%、40%を記録する先輩もいるなかで、私の成績は何と9%!ショックを受けて猛勉強を始めました。

 まず心掛けたのは、スタッフルームではなく、できるだけフロントに立つようにしたことです。お客様がフロントでどんなオーダーをされるのか、お帰りになるとき、どんなふうに表情が変わるのか、ひたすら観察しました。

 もうひとつは、自費でいろいろなサロンを利用してみたこと。当時の社長から「売上の10%を自己投資にあててみなさい」というアドバイスを受け、毎週欠かさず、高級店から格安店まで様々なサロンを回りました。

 お客様の目線で見つめ直してみると、心地良いものとそうでないものの違いが少しずつわかってきました。自分が利用してみると、部屋の匂いや物音、タオルの触感、マッサージの技術、セラピストの説明の仕方など、そうした細かなことのひとつひとつが気に掛かります。

 結局、私は、「自分が」いかに良いサービスを提供できるのかということばかりに気を取られて、「お客様が」どう感じているかという視点を忘れかけていたのです。

 お客様がその空間に一歩足を踏み入れた瞬間から心地良さを感じ、素晴らしいサービスを受けて、最大限に感動が高まった状態でお帰りになる。良いサロンとはそういう場所なのだと気付きました。

 一人ひとりのお客様にとことん寄り添う。このときの経験が、今も私の原点になっています。

しばらくは身体の回復を図りながら、派遣の仕事などで働いていた。慣れない事務の仕事にも就いた。それでも、やはりいつしか「またあの世界に戻りたい」という気持ちが大きくなっていったという。
徹底した「お客様目線」で日々、学びを深めている

徹底したお客様目線で、技術を磨き、接客を見直してみると、リピート率も目に見えて上がった。お客様からの指名が増え、セラピストとしての実績も自信も確かなものになっていった。さらに次の店では店の立ち上げを任された。一通りの経験を積み、当初の想定よりも5年早い30歳のとき、いよいよ独立を果たす。2014年、リラクゼーションサロン「ALESPIA」をオープン。

 お客様に恵まれて、これまで順調にやってこれましたが、でも安心したことは一度もないですね。今日いらしたお客様が次に来てくださるとは限らない。一期一会だと思って、常に緊張感を持ち続けています。

 私は、100年続くサロンを目指していきたい。将来的には、海外進出や、ラグジュアリーホテルとの提携も視野に入れていますし、そのためにもスクールを開講して、志の高い優秀な人材をもっと育てていきたい。やりたいことがたくさんあります。

 そのためにも、視野が狭くならないよう、できるかぎり広くアンテナを張るように心掛けています。思いがけない組み合わせでヒットが生まれる例もあるので、業界の枠にこだわらずにネットワークを広げたり、様々な情報を集めて引き出しを増やしています。多様な引き出しが、いつか必ずどこかで新たなチャンスがつながる。今は自分の幹を太くする時期だと考えています。

 これまでもたくさんの壁にぶち当たったように、これからも順風満帆に行くとは限らないでしょう。でも、私を信頼してくれるお客様がいる限り、何があってもめげずにやり抜くつもりです。

 だってセラピストの仕事は、私の天職ですから。

絶対にチャンスにつながると信じて
地道に引き出しを増やしています

山口 真央(やまぐち まお)
山口 真央(やまぐち まお)
山口 真央(やまぐち まお)
プロフィール

千葉県生まれ。「ミス・パリ・ビューティ専門学校」卒業後、大手エステサロンをはじめ、いくつかのサロン勤務を経験した後、2014年に独立してALESPIAをオープン。