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宮田総合法務事務所 代表司法書士/一般社団法人家族信託普及協会 代表理事 宮田 浩志宮田総合法務事務所 代表司法書士/一般社団法人家族信託普及協会 代表理事 宮田 浩志

なぜそこまでやるのかって?
世の声に応えたいだけなんですよ。

家族の絆を取り戻し、親と子の想いを共有する。
「家族信託」検討のための“家族会議”が
日本の相続を変えると信じています
司法書士
宮田総合法務事務所/一般社団法人家族信託普及協会
代表者
宮田 浩志

老後の資産管理や相続対策の有効な手段として昨今、注目されている「家族信託」。そのメリットにいち早く着目し、活用ノウハウを築いたパイオニアが、宮田総合法務事務所の司法書士・宮田浩志氏だ。一人の司法書士として家族に寄り添ったサービスを提供する傍ら、家族信託の実務・コンサルティングスキルを全国の専門職に普及させることを目指して協会を設立。1つでも多くの『老後の安心』と『円満な資産承継』を実現することに使命感をもって活動する日々を送っている。


「家族の絆を取り戻すために」と語る宮田氏の「家族信託」に寄せる想いは熱い

「家族信託」は、不動産や金銭等の資産をもつ個人が、生前からその資産を信頼できる家族や親族に託す仕組みである。自分の老後や介護に必要な資金の管理はもとより、円満な資産承継を実現する相続・争族対策としても有用性が高い。同制度の活用を提案する宮田氏のもとには、こんな相談が寄せられる。

 両親2人、息子2人の4人家族がいらっしゃいました。2人の息子さんたちは既にそれぞれ家庭を築いており、親子間、兄弟間は疎遠な状況でした。そんなある日、お母さんが倒れたことをきっかけに、「これから親も介護が必要な歳になっていくし、両親の老後をどう支えていくか?」という話が持ち上がり、次男から私に相談がありました。仮に毎日顔を会わせるご家族だとしても、親の資産の話をする機会はあまりないはず。ましてや、このご家族のように疎遠な状況であればなおさらです。

 もし、今のまま何の策も講じず、親が希望や想いを表明しないままその機会を失ってしまえば、後々の“認知症による資産凍結”や“遺産争い”に発展しかねかない。そう思った私は、家族で話し合いの場を設けることをご提案し、久しぶりに4人が弊所で顔を合わせる機会を設けました。

 そして、ご家族全員から、「これからの生活や相続についての希望・想い」という“積極的な内容”と、「今後についての不安・憂い」という“消極的な内容”について、じっくりとお話を伺いました。最初は堅い雰囲気でしたが、次第に家族に対する疑心暗鬼や将来の不安が解消され、お互いに本音で想いを打ち明けて頂けるようになりました。その後、共有することができた「親子の老後の希望」や「相続への想い」を実現するために取り得る方策をいくつも挙げ、比較検討をしました。

 その結果、「家族信託」が最も効果的であることをご進言し、次男が親の財産を管理し主体となって両親を支えていくこと、長男はそれを定期的にサポートすること、またご両親を看取った後に残った財産を兄弟で分ける資産承継の取り決めも、ご家族全員が納得の上で進めることができました。

 まさに“家族の絆”を取り戻して、皆さんが笑顔になった瞬間でした。

「家族信託」は、不動産や金銭等の資産をもつ個人が、生前からその資産を信頼できる家族や親族に託す仕組みである。自分の老後や介護に必要な資金の管理はもとより、円満な資産承継を実現する相続・争族対策としても有用性が高い。同制度の活用を提案する宮田氏のもとには、こんな相談が寄せられる。
家族会議を招集して家族全員の“想い”の擦り合わせ、「大義」と「誠」を実現していくのが宮田氏の流儀だ

家族信託の大きな特徴は、「財産を持つ親と、それを支える家族、双方の合意があってはじめて成り立つ点」だと宮田氏は言う。親側の想いだけで成立する「遺言」とは、そこが違う。安心の老後と円満な資産承継を実現するために、宮田氏には大切にしていることがあるという。それは、『大義』と『誠』と『家族会議』だ。

 家族信託の仕組み自体ももちろん大変有意義なものですが、単に信託契約を交わしただけではその効果は十分に発揮されません。大事なのは家族信託の設計の前段階にある、当事者たる家族全員の“想い”の擦り合わせなんです。だから、家族信託を含めた老後の財産管理や資産承継の方策をご検討頂く際には、私は必ず「家族会議」の招集をかけて頂くようお願いしています。
 
 そして、家族会議の場で議論の出発点となるのが親の“想い”です。財産を今持っているのも親、将来財産を遺すのも親ですから、まずは元気なうちに親が自分の“想い”を表明することが第一歩です。これこそが「大義」です。親が望む老後と承継を実現できなければ、何のための方策か分かりません。「どんな老後を過ごしたいのか」「そのために資産をどうしていきたいか」、逆に「将来に対してどんな不安を感じているのか」…、そうした親の“想い”を忌憚なく話してもらいます。その上で、親を支える子側が仕事や子育て等に追われながらも誠心誠意それに応えようとする姿勢、その「誠」の心もまた不可欠な要素です。

 「大義」と「誠」を踏まえ家族会議を進めなければ、たとえ家族信託という画期的な方策を活用しても本質的な解決策にはなりえません。

家族信託の大きな特徴は、「財産を持つ親と、それを支える家族、双方の合意があってはじめて成り立つ点」だと宮田氏は言う。親側の想いだけで成立する「遺言」とは、そこが違う。安心の老後と円満な資産承継を実現するために、宮田氏には大切にしていることがあるという。それは、『大義』と『誠』と『家族会議』だ。
家族会議やコンサルテーションの場で話し合われた内容は、緻密に作成されたオリジナル「備忘録」に記され、依頼人に手渡される。

いま宮田氏は、家族信託の先駆者の一人として、新たな活動へと踏み出している。司法書士としての業務の傍らで、「一般社団法人家族信託普及協会」を立ち上げ、家族信託の普及と専門家の育成に努めているのだ。

 昨今、家族信託のメリットがテレビや新聞、雑誌など多くのメディアで取り上げられるようになり、一般の方からの反響も大きくなっています。半面、ご相談に的確に対応できる専門家がまだ少なく、一般の方からも「どこに相談したらいいのか分からない」という声が多く挙がっているのも事実です。

 そんな中、しっかりとした知識やノウハウを持たないにも関わらず、“家族信託の専門家”をうたう「にわか専門家」も増え、トラブルにあう相談者が増えることも懸念されています。そうした背景から、「家族信託を正しく深く理解する専門家を早く育成しなければ」という想いが強まり、協会設立に至りました。いま協会の会員登録は1400人を超えています。「家族信託は、家族を幸せにするための手段のひとつ。決して、家族信託の活用自体が目的になってはいけない」専門家の育成にあたっては、皆さんに常にそう戒めています。私の協会活動に対しては、「自ら競争相手を増やしているのではないか」と心配して下さる方もいます。しかし、家族信託という仕組みを社会に広めることこそ、「先駆者の一人である自分の責務」と思っています。

いま宮田氏は、家族信託の先駆者の一人として、新たな活動へと踏み出している。司法書士としての業務の傍らで、「一般社団法人家族信託普及協会」を立ち上げ、家族信託の普及と専門家の育成に努めているのだ。
専門家育成のための研修や一般の方向けのセミナーに多数登壇し、「家族信託」制度の普及に努力は惜しまない。

家族信託の普及に使命感を燃やし、毎日のように全国を飛び回る宮田氏。仕事人としての宮田氏の生き方を変えたきっかけとは、なんだったのだろうか。

 きっかけは、信託法が改正されて2年ほど経った2009年頃でした。当時、とある資産家の相続対策で相談を受けました。当時はまだ家族信託という仕組み自体が知られておらず、複雑な家族関係や保有資産を踏まえ、その相談者が抱える「健康状態に左右されない資産活用・相続税対策の継続」等の問題をスムーズに解決する手段は知られていませんでした。そんな中、必死で情報を集め、解決策を模索した結果、たどり着いたのが家族信託でした。

 財産を持つ方とそれを支える方と専門家の三者が協議を重ね、設計・実行した家族信託により、ご家族の望みが一つ一つ実現されていく過程を目の当たりにした、その時です。家族信託の計り知れない可能性を感じたのは。超高齢社会を迎える日本において今後、必要不可欠になる仕組みだと確信しました。同時に、「これから膨れ上がるニーズに十分応えられる体制を整えることこそ、我々専門家の責務ではないか」と、期待とともに危機感も湧いてきたんです。やる人がいないなら、自分がやるしかないと。

家族信託の普及に使命感を燃やし、毎日のように全国を飛び回る宮田氏。仕事人としての宮田氏の生き方を変えたきっかけとは、なんだったのだろうか。
「あくまで私は法律実務家」と語る宮田氏は、今も現場の最前線に立ち続け、一人ひとりの相談者に向き合うことを大切にしている

家族信託の普及に仕事人としての矜持をもつ宮田氏。彼を突き動かす原動力とはなんであろう。

 シンプルに、お客様の笑顔がそこにあるから。それだけです。「物忘れが出てきた老親の今後を安心できるものにしたい」「認知症になる前に今からできる老い支度の相談をしたい」、という声が本当に多いんです。私はただ、それに応えているだけなんですよ。

 でも、全国の相談者全員を私一人の力でお手伝いすることは不可能ですから、ノウハウを公開し、正しい知識を持った専門家を育成していく必要がある。

 今後もこうした活動を通じ、「家族会議」がもっともっと自然にかつ頻繁に開かれるような世の中にしたい。「家族信託」を普及させたいのではなく、「家族会議」、つまり家族の対話の機会を広めたい。その中で老親を支えることの大切さ、家族の絆の尊さを世の中に取り戻したいですね。

家族信託が正しく理解されることで、老後の財産管理や円満な資産承継を実現するための方策の一つとしてきちんと検討されるように、今後も情報発信や専門家の育成に精力を注ぎたい。

 ただ、大前提として、私は一人の法律職としての役割も果たし続けていきたい。家族信託の活用が広がる今だからこそ、現場の最前線に立ち続け、一人ひとりの相談者に向き合うことが大事だと思っています。あくまで私は先導者ではなく法律実務家=プレーヤーですから。

あくまでわたしは法律実務家。
だからこそ現場に立ち続けたい。

宮田 浩志(みやた ひろし)
宮田 浩志(みやた ひろし)
宮田 浩志(みやた ひろし)
プロフィール

1974年生まれ。早稲田大学法学部在学中に宅地建物取引主任者資格・行政書士資格・司法書士資格を取得し、2000年3月に吉祥寺で、宮田総合法務事務所を開業。以来、地域密着にこだわり、地元を大切にする司法書士事務所として信頼を重ねている。個人向け業務と法人・企業向け業務の2本柱で、法律・法務全般に対応できる「総合法務」のワンストップ事務所を経営。代表自身は、個人の相続や成年後見制度に関する業務にウエイトをおき、その中の「家族信託」に関する取り組みでは日本の先駆的な存在で、国内屈指の相談件数と組成実績をもつ。2014年に家族信託の適正な利用促進を目的とした一般社団法人家族信託普及協会を設立して代表理事に就任した。新聞・雑誌・等への執筆・寄稿・記事監修等多数。代表著書に『相続・認知症で困らない 家族信託まるわかり読本』等。