株式会社Magical Land/KBT-GROUP本部 代表取締役 岩本敦詞株式会社Magical Land/KBT-GROUP本部 代表取締役 岩本敦詞

自分の「物差し」に固執しない
それが私の哲学です

成功への近道は
素直であり続けることです
物流グループ経営者
株式会社Magical Land/KBT-GROUP本部
代表取締役
岩本敦詞

ネット通販の普及を背景に、“物流”というものの重要性があらためてクローズアップされる昨今。この社会的要請に応え、社会における物流機能を下支えする「縁の下の力持ち」として存在感を増しているのが、KBTグループだ。グループを率いるのは、軽貨物配送で独自のビジネスモデルを確立し、フランチャイズ化を積極推進する代表の岩本氏。物流業界に新風を吹き込む敏腕経営者だ。


多くの挑戦と失敗を繰り返してきた岩本氏。原体験に裏打ちされた同氏の仕事論は次世代の経営者の道しるべとなっている

岩本氏が率いるKBTグループ。フランチャイズ加盟店は独立採算性としながら、ときに店舗同士が相互に補完しあい、グループとして大きな輸送力と臨機応変なサービスを実現する。

 軽貨物配送という事業では、規模の追求はもっとも重要な経営課題のひとつなんです。今積んで、すぐ運ぶ。そんな小回りが利いた、きめ細かなサービスこそ大手運送業にはできない軽貨物配送ならではの強みですから、当日配送の要求に対応するのは当たり前。時には深夜配送や細かな時間指定にも対応します。
 しかし一方で、大量輸送のオーダーには対応に限界がある。100台しかない会社に200台分の荷物は扱えませんからね。では、どうするか。その答えが“規模の追求”、すなわち「フランチャイズ化」なんです。今までは、同業者といえば、この業界では仕事を奪い合うライバルでした。しかし当社の場合は、手を取り合って助け合う仲間なんです。まさに、発想の転換です。力を合わせれば、できないことはなくなっていく。グループのリソースを広げ、物流の世界で「不可能」を消していく。それが私の仕事ですね。

岩本氏が率いるKBTグループ。フランチャイズ加盟店は独立採算性としながら、ときに店舗同士が相互に補完しあい、グループとして大きな輸送力と臨機応変なサービスを実現する。

今や関東圏を中心に110店舗以上、車両台数3000台以上を誇る物流王国を築き上げた岩本氏。その卓越したビジネスモデルに感銘を受け、グループ入りを決めた事業主は多く、それぞれが一国一城の主として巣立っている。中には、こんな人材も見事に経営者として自立させている。

 私と出会った当時、彼はまだ28歳の若者でした。高校卒業後、正規社員として就職した経験が一度もなく、フリーター生活を続けていた彼は、敬語もまともに使えない状態でした。ただ、ずば抜けて素直だったのは覚えています。「このままじゃダメだ」と思ったらしいんです。一念発起して、「軽貨物配送の経営に挑戦したい」というので、時間をかけて当社の事業ノウハウを伝授したうえで、声をかけたんですよ。「困ったことがあったら、何でも言って来いよ」と。それ以来、彼からは頻繁に電話がかかってくるようになりましてね。「社長、今何してますか」とか、「社長、メシ食いましたか」とか。彼に言わせれば、「社長、言いましたよね、何でも言って来いって」というわけです。どこまでも素直なんですよ(笑)。そして、会うたびに私に経営上の疑問をぶつけてくるんです。親身に答えながらも、伝授した事業ノウハウの大切さだけは忘れず伝えていました。そんなある日、ちょうど彼が経営を始めて4カ月ほど経った頃、こう言うんです。「社長、銀行口座になぜか100万円残っているんです。支払いも全て終えたので、理由が分からないんです」と。私にすれば当然なんです。「事業マニュアル」を忠実に実践してさえいれば、4カ月でそれくらいの利益は残ります。「それは君の利益だよ」と伝えると、初めて気づいたようです。教えられたことにどこまでも忠実で、ただただ素直。そんな若者でした。

今や関東圏を中心に110店舗以上、車両台数3000台以上を誇る物流王国を築き上げた岩本氏。その卓越したビジネスモデルに感銘を受け、グループ入りを決めた事業主は多く、それぞれが一国一城の主として巣立っている。中には、こんな人材も見事に経営者として自立させている。
岩本氏のもとで成長を遂げた経営者たち。その活躍は同社の連載インタビュー企画「KBT MAGAZINE」で紹介している

裸一貫でグループを現在の姿にまで育て上げてきた岩本氏には、ビジネス人生を支えてきた、ひとつの譲れない信念がある。それは、「自分の物差しにこだわらない」というものだ。

 私はグループ入りした多くの経営者を見てきましたが、成功する人には共通点があります。それは「素直さ」。自分の見方・考え方に執着せず、他者の経験やノウハウをありのまま、どん欲に学ぼうとする姿勢です。当社には、長年にわたって多くの業界経験を蓄積して築き上げた精緻な「事業マニュアル」があります。それに沿って事業を進めれば、このドライバー不足の環境下、自然と事業は軌道に乗るようにできています。そのノウハウから素直に学ぶことさえできれば、大抵の人は成功できる。問題は素直さ。その意味では、先ほどの彼は成功者の素養をもつ典型的な人物と言えるでしょうね。

 古くからの教えに言いますよね。賢者は歴史に学び、凡人は経験に学ぶ。何も学ばないものを愚者と呼ぶ――と。自分の限られた経験に執着して、新たな知恵や知識を吸収できないとするなら、その経験は成長にとってむしろ邪魔でしかない。人は一度、成功を経験すると、そこで学んだ教訓が自分の判断基準、いわば「物差し」となり、以後はその物差しを金科玉条のものとしてしまいます。違った「ものの見方」を排除してしまうんですね。その成功が大きければ大きいほど、その物差しの基準は強くなってしまうもの。成功にはそんな危うさもあるんです。自分の経験の限界を認める「謙虚さ」、外からの知識やアドバイスを受け入れる「素直さ」が、成長には必要だということです。

 ですから、私も日頃、多くの人の言葉に耳を傾ける努力をしています。築き上げたマニュアルも、決してこれが「完成品」だとは思っていません。そう思った段階で、これが「物差し」になってしまいますから。

裸一貫でグループを現在の姿にまで育て上げてきた岩本氏には、ビジネス人生を支えてきた、ひとつの譲れない信念がある。それは、「自分の物差しにこだわらない」というものだ。
事業ノウハウを伝授する岩本氏。自らの限られた経験に執着せず、他者からの知恵や知識を貪欲に吸収していく素直な姿勢こそが成功者への第一歩だと語る

成長に必要な「謙虚さ」と「素直さ」。そして成功体験によって「自分の物差し」ができあがってしまうことの危うさ。岩本氏が常日頃、自身を振り返り、戒める背景には、過去の大きな成功と辛い挫折の経験があった。

 実は20代の頃、地元の北海道でアパレルや飲食の事業を手がけていました。事業は順調そのもの。商品を出すそばから売れていく、そんな勢いのままリスクも考えず、どんどん手を広げていきました。当時は、まさに怖いもの知らずでしたね。年商も倍々で伸びていきました。そんな絶頂のさなか、仕入れ先の1社が倒産。その影響をまともに受け、急転直下、私も廃業に追い込まれてしまったんです。そればかりか個人で1億円の借金を背負うことに。34歳の時でした。その時、痛感したのは成功に胡坐をかいていた自分の甘さと、成功の危うさでした。

 絶望的な状況でしたが、どこかで「自分なら絶対に復活できる」という自信もありました。でも、自分には本質的な「甘さ」がある。経験のある業界でやり直しても、きっと同じ過ちを繰り返してしまうだろう。自分の凝り固まった「物差し」を捨てなければ――。そんな想いに至ったのは、この経験から得た最大の教訓でした。虚心坦懐、裸一貫でゼロからやり直そうと誓ったんです。

 そんな時でした。スポーツ新聞の片隅に「オーナードライバー募集」という小さな求人広告を見つけたのは。それが、今の事業につながるとは当時、夢にも思いませんでした。会社説明会に行くと、仕事内容は現在の軽貨物配送の原型ともいえるもので、自分の想像を裏切るその斬新さに衝撃を受けたんです。社会的なニーズもあるし、働く人にとっても裁量の度合いが大きい。働けば働くほど稼げるわけですから。大きな可能性を感じましたね。一方で、事業としては課題も多かった。それからは、一人のドライバーとして仕事を経験しながら、多くの業界人のノウハウも吸収。事業としての軽貨物配送をひたすら研究し尽くしました。

 ただ、その間もつねに最優先に考えていたのが、借金の返済。だから、事業の手は拡げず、従業員は私と母とパートのみ。計3人で人件費を最小限に抑えることを優先し、堅実にコツコツと返済を続けました。気づけば、1億円の借金は、5年半で完済していました。同時に、わずか3~4人で収益をあげられる、KBT独自の事業モデルも確立できていたわけです。もし自分の「物差し」に固執していれば、ここでも事業を安易に拡大して、失敗していたかもしれませんね。

成長に必要な「謙虚さ」と「素直さ」。そして成功体験によって「自分の物差し」ができあがってしまうことの危うさ。岩本氏が常日頃、自身を振り返り、戒める背景には、過去の大きな成功と辛い挫折の経験があった。
新聞の片隅にあった小さな求人広告が、岩本氏の仕事人生を大きく変えるきっかけとなった
自らの物差しに固執することは、「甘え」と同義であると語る岩本氏。

この間の研究によって手にしたノウハウは、精緻な「事業マニュアル」に余すところなく盛り込まれている。この仕事の魅力を伝え、顧客も働き手も幸せにする。そんな使命感が、岩本氏にはある。

 この軽貨物配送という仕事は、社会的なニーズもさることながら、ドライバーにとっても魅力的な仕事です。年齢、性別、学歴、キャリアに関係なく、働いた分だけ稼げる。軽貨物を扱う小口配送なので、女性でも高齢者でも活躍できる。定年もない。自分のライフスタイルに合った人生設計を実現できる数少ない仕事なんです。そればかりか、ワークライフバランスを実現する働き方改革や人口減少による労働力不足問題、女性の社会進出やドライバー不足による物流の疲弊。我々が手がける軽貨物配送とは、こういった数々の社会問題を一気に解決に導くことができる可能性を秘めた事業でもあるんです。目の前のお客さまの満足を追求する。それを基本としながらも、このモデルを広げていくことが、なによりも社会貢献につながる。そんな使命感も、私の背中を押してくれているんです。

長年築き上げたマニュアルですが、 決して「完成品」だとは思いません

岩本敦詞(いわもと あつし)
岩本敦詞(いわもと あつし)
岩本敦詞(いわもと あつし)
プロフィール

1970年、北海道生まれ。調理師専門学校を経て料理人として腕をふるったあと、トラック運転手や飲食店のオーナーなどの職業を経験。20代後半から輸入ブランド品の展示販売のビジネスを始めるも、大きな負債を背負う結果に。そんなときに軽貨物運送ビジネスと出会い、一念発起して仕事に邁進。2004年、北海道から上京し、同年に関東経済物流運送株式会社を立ち上げる。2009年には 軽貨物運送業のFC展開を推進すべく、KBT-GROUP本部株式会社設立。 その後、株式会社Magical Landに社名変更。現在、加盟店数は全国に110を超え、グループの車両保有数も3000台を突破。さらなる成長を続けている。

事業所概要

社名 株式会社Magical Land/KBT-GROUP本部
本社 〒333-0866
埼玉県川口市芝3丁目22−15
TEL 048-424-3397
URL http://www.kbt-group.jp