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有限会社実栄商会(肉の田じま) 代表取締役社長 田島 慎太郎有限会社実栄商会(肉の田じま) 代表取締役社長 田島 慎太郎

「肉選び」に妥協はしない。
自分の「目」を信じているからこそ、
欲しいと思った牛は絶対に買う。

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本物の美味しい肉を多くの人に知ってもらいたい。
感動してもらえる肉を出している確信があります。
有限会社実栄商会(肉の田じま)
代表取締役社長
田島 慎太郎

創業、昭和48年以来、信頼のブランド力で、焼肉・すき焼き・しゃぶしゃぶ・ステーキを展開する『肉の田じま』。肉の美味しさに絶対の自信を持ち、多くの顧客の満足を獲得する裏側にあるのが、田島氏が培ってきた「肉選び」への妥協のない姿勢とその中身だ。牛の1頭1頭に厳しい視線を注ぎながら目を細め、肉の見極めに精魂を込める毎日。そのプロセスには、職人としてのこだわりがぎっしりと詰まっている。


厳しい基準をもって妥協なく牛肉を見抜く田島氏によって選び抜かれたものだけがお客様のもとに届く

「良い肉」の定義とは何だろう。人によって好みはさまざまで、どんなお肉に対して「美味しい」と感じるかは千差万別であるに違いない。そのなかで、顧客を満足させる良い肉の定義について、田島氏はどう考えるのか。

 もちろんお客様が美味しいと感じるお肉が、その方にとっての良いお肉であるということが前提です。人によっては霜降りに美味しさを感じる人がいれば、赤身の方が好きという方もおられます(霜降りが苦手=赤身が好き、同じことを言っている)。ただその中で、どのお客様にとっても「美味しい」と感じていただける牛肉を提供するのが私たちの仕事なのです。そこには、牛肉自身にツヤがあり、焼いた時には食欲をそそるような良い香りが漂い、食べた時に何とも言えない甘みと旨みを同時に味わえることが必須。どれか一つが欠けてもダメ。その3つが揃ってこそ満足できる良い肉と言えるのです。

 肉の田じまは、常にお客様にご満足して頂ける牛肉を提供する為に、去勢牛でなく雌牛にとことんこだわりを持ち、良質な雌牛を追求し続けています。雌牛の方が去勢牛と比べて肉質が柔らかく、脂の融点も低い。それだけ旨味が強いということ。霜降り肉はしっかりとした甘みがありながらも、もたれる事なく食べやすく、赤身肉はさっぱりとした中にも、クセになる独特の旨みがあるのが特徴なんです。

 良い肉には、また食べたくなる直感的なものが頭に残るものです。それが、何ともいえない香りや口にしたときの旨味。肉本来の美味しさは決してごまかせないんですよ。

「良い肉」の定義とは何だろう。人によって好みはさまざまで、どんなお肉に対して「美味しい」と感じるかは千差万別であるに違いない。そのなかで、顧客を満足させる良い肉の定義について、田島氏はどう考えるのか。
どのお客様にとっても「美味しい」お肉を提供するのが田島氏の仕事だ
いつも変わらぬ美味しさを追求。季節によって異なる肉質に合わせた食べ方も日々、模索している

顧客へ本当に美味しい肉を提供するためには、何よりも「仕入れ」が重要な場となる。その意味でも、毎日の市場はまさに真剣勝負の戦場。吊り下がった枝肉がところ狭しと並ぶなかで、信じるのは自分の目のみ。仕入れでどのような点を見極めるのか、田島氏のこだわりとは何だろうか。

 こだわりの一つは、東京食肉市場で牛枝肉を1頭買いすること。毎日お客さんにお肉を提供する中で、いつも変わらぬ美味しさでなければなりません。「先週の牛肉は美味しかったけど、今回のはイマイチ」ではお話になりません。いつ来ても変わらぬ美味しさを提供するには、1頭買いであることが欠かせないのです。

 枝肉を見ても、私たち一人ひとりの体がそれぞれ違うように、牛の個体も全て違います。私が仕入れの際に見るのは、ひとつは牛のカタチです。人と同じように牛にもスタイルがありますが、人間でいうモデルのようなスラっとした体形は実は良くありません。それよりも、ずん胴でも体に肉厚があって、首からお尻までの肉が詰まっているカタチのほうが、肉も美味しくて部位によるバラツキがないんです。

 また、肉自体のツヤや照りも大事です。脂が真っ白ではなく、少し濃いめの白で光っているイメージ。さらには、コンクリートのような硬い脂ではダメなんです。良質な脂は輝いて見えるし、肉が生きていますよ。もちろん試食してから購買なんかできない。目で味を感じなきゃダメなんです。

 セリが始まる前に枝肉をずらっと見て、良さそうなものに目星をつけておきます。そして実際のセリでもう一度見て、確信を深めて落とします。本当に「欲しい」と思うのは、その日300~400頭くらいがある中で、1頭から3頭くらいしかいないものです。その日になければ次の日に行って、自分で納得のいく牛だけを購買します。自分の「目」を信じているからこそ、直感で欲しいと思った牛は絶対に買う。そこでは目先の儲けとかは一切考えません。お客様が喜んでくれる牛肉しか買わない。絶対に妥協はしませんね。

顧客へ本当に美味しい肉を提供するためには、何よりも「仕入れ」が重要な場となる。その意味でも、毎日の市場はまさに真剣勝負の戦場。吊り下がった枝肉がところ狭しと並ぶなかで、信じるのは自分の目のみ。仕入れでどのような点を見極めるのか、田島氏のこだわりとは何だろうか。
こだわり抜いた目で美味しい肉を見抜く「仕入れ」の場は、真剣勝負の戦場。

田島氏は「自分が仕入れた肉が、イメージ通りに美味しいのは当たり前。そこに対して感動ということはありませんよ」とさらりと言う。ただそのなかで、自分が選んだ肉を見て、興奮や感動に出会うこともあるという。それはどのようなときなのか。

 自分がイメージして仕入れた肉が、当店でお客様に提供するときに、ぐわっと成長してくれていることがあるんですよ。仕入れて「やはり旨い」と納得した肉に、さらに旨味がじわりと深まって、びっくりするくらいの風味になっているんです。肉にはイノシン酸やグルタミン酸という成分があって、それは10日から14日程熟成させる事により、旨み成分がグっと増してきていっそう美味しくなるんです。カタチの良い枝肉はさらにサシが入ってくれる事もあり、当初の予想をはるかに超える旨みを醸し出すことがあるわけですよ。そんな肉の成長に出会うと、嬉しいし、感動しますね。

 私はこれまで沢山の枝肉を購買してきましたが、その一つひとつを全て覚えています。自分の手帳を見ると、全部の牛を思い出せます。それだけ牛には1頭1頭に個性があるし、だからこそ面白い。1頭ずつに夢があって、どんな変化や成長があるかワクワクしてきます。

田島氏は「自分が仕入れた肉が、イメージ通りに美味しいのは当たり前。そこに対して感動ということはありませんよ」とさらりと言う。ただそのなかで、自分が選んだ肉を見て、興奮や感動に出会うこともあるという。それはどのようなときなのか。
これまで購買してきた何百頭もの牛は「全て覚えている」と語る田島氏。牛に対する思い入れは深い。

田島氏には、肉選びのこだわりが、自信から「確信」に変わった瞬間があるという。それは、これまで肉に携わってきたプロセスにおいて直面した、必然ともいえる流れだったように感じる。

 私は大卒後、最初に全国トップクラスの牛肉を扱う都内の大手老舗企業で、4年間にわたって修業を積んできました。違った個体の牛を毎日2~3頭は切り、延べ数千頭に及ぶ牛肉に実際に触れていくなかで、肉選びの本質をつかんだのです。いずれも素晴らしい肉ばかりでしたが、それでも幅はあり、どの肉が最高でどれがそうでないか。自分で実際に触ってきたからこそ感じてきた「違い」がありました。

ただ、自分で肉選びの本質をつかんだ自信はあっても、それが本当にお客様にとって喜ばれる良い肉かどうかは分からなかったんです。実際に目の前でお客様が味わうところを見ていませんから、その実感はなかなか得られなかったわけです。

 前会社を辞めて、家業である当社に入ったことをきっかけに、仕入れから提供までを一貫して経験し、お店でお客様の食べている表情や生の声を聞くことができました。そこで、「ほんとに美味しい!」「うちの家の近くにも出店してよ」という生の声を聞いて、私自身の肉選びの自信が確信に変わったんです。やっぱり自己満足ではダメで、お客様の声に直に触れていくことが大事。それを大切にしたいから、私は今でも調理場に立ちますし、自分で肉を切ることもあるんですよ。

田島氏には、肉選びのこだわりが、自信から「確信」に変わった瞬間があるという。それは、これまで肉に携わってきたプロセスにおいて直面した、必然ともいえる流れだったように感じる。

顧客が喜ぶ仕事こそが、肉選び職人としての本質であることを知った田島氏は、その思いをいっそう昇華すべく前を見据えている。そこには、良い肉を選ぶための揺るぎない自信と確信が常に備わっている。

 仕事をしていて、自分が購買した牛肉をお客様が召し上がり、笑顔を見せる瞬間が一番嬉しいですね。それだけに、「肉の田じま」を知らずに他店のお肉を食べ、満足されているお客様がいらっしゃるのがとても悔しいんですよ。本物の牛肉を味わってもらいたいという想いをもって仕事をしているし、まだまだ美味しい牛肉があることを、もっともっと多くの人に知ってもらいたい。一切れの牛肉で感動を与え、「肉の田じま」のファンになって頂ける確信、自信があるんです。

 「肉の田じま」は東京食肉市場内の牛内臓の卸問屋でもあります。そんな中、牛枝肉を1頭買いし、精肉、焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ステーキと全てを提供している企業は東京では弊社以外にありません。オンリーワンの強みを活かし、牛肉・内臓=「肉の田じま」とお客様が発想してしまう程のイメージや店舗を展開していきたいですね。だからこそ、それぞれの料理に適した肉を極めていくための「肉選び」のプロセスには、決してゴールはないと思っています。

良い肉には、また食べたくなる直感的なものが残る。
肉本来の美味しさは、決してごまかせません。

田島 慎太郎(たじま しんたろう)
田島 慎太郎(たじま しんたろう)
田島 慎太郎(たじま しんたろう)
プロフィール

1984年10月17日生まれ。東海大学卒業後、株式会社人形町今半へ入社。4年間、精肉部門と経営を学んだ。人形町を皮切りに、新宿高島屋で延べ1,000頭を超える数の牛肉をさばき、牛肉の本質を極める。その後、家業として、東京食肉市場内の牛内臓卸問屋でもあり、食肉卸売業の株式会社田島商店に入社。常務取締役となった後、同社の飲食部門として分社化されている有限会社実栄商会の代表取締役社長に就任した。現在は江東区扇橋に本店を構え、焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ステーキ店「肉の田じま」を経営。店舗数のさらなる拡大を見据えている。

事業所概要

社名 有限会社実栄商会/肉の田じま
本社 〒135-0011 東京都江東区扇橋1-4-1田じまビル
http://www.nikunotajima.com/
東陽町店 〒135-0016 東京都江東区東陽4-6-16 東陽ビル B1F
https://matsusakaushi-tajima.owst.jp/